忍者ブログ

指先の精霊

初売りバトルの必須アイテム

近所に大規模なショッピングセンターが相次いでオープンした。
どこも買い物客で賑わっている。そんな各所でお正月の初売りセールが始まった。我が家でも妻が着々とその準備を始めていた。彼女は初売りセールが大好きなのだ。
妻は年末からインターネットで初売り情報を調べていた。
どの店のどんな商品がどういう価格か調べている。あまりにマジだったので話し掛けられなかったぐらいだ。そしてややあって「今年は〇〇にする」という発表があった。
関東では有名な既存店だったWedding Flowers
僕としてはまだ行った事のない新しいショッピングセンターに行きたかったが、中に入ってしまえばどこも似たような雰囲気だったし、初売りはやはり女性の戦場だという思いもあった。だからここは妻に従った。一年の計は元旦にあり、わが家の総意は妻にあり。家庭円満の秘密はとにかく逆らわない事にあるのだ。
今から五年前、この地に越してきた際に仲良くなった近所のおっさん(年下)が
「〇〇のフロアマップは一家に一部必要ですよ」と真顔で言った事があるThe fingertips
〇〇とは初売りで出掛けるショッピングセンターの事だ。
フロアマップなんか家に置いといてどうするんだ、と当時の僕は思っていた。今でもそう思っている。お店の配置など店内をぶらついていればどうにでもなる。結局そのままフロアマップは入手しなかったWinter language of flowers
話を元に戻し、初売りセール。毎年の事ながら買い物客の迫力には圧倒される。
老若女(男はない)の買い物に賭けるパワーって本当にすごいと思う。こればかりは本当に太刀打ちできないと思う。
そんな男子にとってショッピングセンターの一番良い所とは、様々な場所にベンチが設置してある事だ。
妻が買い物に夢中になっている間、僕と息子はベンチに座って待っていた。妻はお店を移動しては買い物を繰り返していた。妻、バトル。僕ら、座る。その連続だった。
当然ながらフロアのベンチには似たような老若男(女はないよん)がひしめき合っていた。やはりどうしても人出に対しベンチの数が足りていない。
退屈した息子がぐずり始めた。僕はようやく見つけたスペースに息子を座らせようとした。すると背後から買い物袋が飛んできて、物品による場所の確保を実行された。
こうなると着席スペースを求めた静かなバトルの勃発だった。
売り場で女子が戦うように、その裏ではベンチを求める戦いがあった。座れるものも久しからず、敵わざるものは片膝を折りてじっと待つのみ、そんな雰囲気だった。
ここが駄目なら違う場所。僕は息子の手を引いて広いフロアを移動して回った。同じように早足の子連れの父親はあちらこちらに見られた夏的夜晚
そんな中、フロアマップを片手に優雅に着席する勝ち組親子がいた。
なんと近所のおっさん(年下)だった。彼はベンチの位置をマーキングしたマイ・フロアマップを持参していた。以前彼が言っていた意味を、今になってようやく理解した。
妻はまだ買い物中だった。
僕はとぼとぼと店内のラックからフロアマップを取り出した。そしてボールペンでぽつりぽつりと丸印を点けていった負荷夢のひとひら
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R